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Dirty Testerに込めた思い

はじめに

私はDirty Testerと名乗っています。 これは自分で名づけた異名であり、そして私の在り方を定めたものでもあります。

テスターを名乗る

2018年ごろ、私は大阪の第三者検証で死ぬほど燻っていました。

誰にいつ言われたかは覚えてはいませんが、心に残っていることがあります。 それはどこかで誰かに「お前はテストエンジニアではなくテスターだ」と言われたことです。

この言葉は私に大きな劣等感を抱かせるものでした。

一方で、外国人とコミュニケーションをする中で、「QAエンジニア」や「テストエンジニア」という言葉が通じない場面があります。 そんな中、唯一私のロールを表す言葉で通じた単語が「テスター」でした。

私は大きな劣等感を抱いた「テスター」という言葉を、皮肉にも自分自身で名乗っていました。

ダーティハリーに思いを寄せて

2019年ごろ、その頃から「テスターではなくQAエンジニア」という風潮が広がっているように見えていました。 バグを出す「テスター」ではなく、「QAエンジニア」として開発者と協調していこうという風潮です。

そういった姿勢を、第三者組織で第三者検証をしていた私には、「開発者に迎合する姿勢」に見えていました。 今から思えばこれは僻みにだったのかもしれません。 私は、自分の仕事に誇りを持つため、自分のバグ出しテスターの仕事を肯定する必要があったのだと思います。

そんな中で頭に浮かんだのは「ダーティー」という単語でした。

元々のニュアンスとして、「ダーティー」は”不潔”や”超汚い”といった場合に使う言葉です。 「ダーティーワーク」という汚れ仕事を想像していたことも事実です。 ただ、私の頭の中にあったのはクリントイーストウッドの「ダーティーハリー」でした。

無法ながらも自分自身の信念を貫き通しながら正義を全うする姿と、開発者への忖度なしにバグを出す私自身の姿を重ね、私自身の異名として「Dirty Tester」という言葉をつけることにしたのです。

キラキラQAになれない自分

Dirtyというネガティブな言葉を使ったのは、キラキラQAに対するアンチテーゼという側面もありました。 当時の「キラキラQA」は、モダンな開発な中でモダンなプラクティスを使って、モダンに働くことで、すっきりさっぱり働く人々と思ってました。

一方で私はそういった華やかさとは無縁でした。 ただただ泥の中にいたのです。

私は泥臭い現場のなかで自分にできることを行ない、そんな中で泥を被ってでも自分のできることを増やしていく、どんなに汚れてでも成長していきたいという気持ちと覚悟を込めて、Dirtyという単語を使ったのでした。

チーム名としてのDirty Tester

Dirty Testerというのは私の異名です。 そして、ややこしいことにチームの名前でもあります。

大阪のテスト会社で悩みながらも「成長したい」という思いを共有した2人とともに作ったチーム。 これも同じく「Dirty Tester」と呼んでいます。

このチームは、チームでのテスト開発、チームビルディング、ふりかえりなどについて研究・実践を行なうチームです。 仮にこのチームが誕生せず、私1人で大阪で燻っているままでは、決して今に繋がらなかったと感じています。 そういう意味で、私自身は愛着のあるチームです。

今はDirty Testerとしてアウトプットしているのは私だけですが、いつかチームとしてのDirty Testerが世に出ることを楽しみしておいてほしいと考えています。

今では「テスター」という言葉に誇りを持つようになった

時が飛んで現在、「テスター」という言葉に私は自負と誇りを持っています。

「テスター」とは自分のスキルや業務のスコープを示すのではなく、 「テストという専門性に対して優れている」ということを示していると思うようになったからです。

アジャイルテストの文脈では「テスター」は品質全般に責任を持っており、日本における「ただのテスター」ではなく、もっと広い専門性を表す言葉として「Tester」という言葉が使われていることも関係しています。

私はソフトウェアテストの専門家として、もっともシンプルに、端的に表す言葉として「テスター」があると考えています。 そして、それに相応しい行動を常に行なうことで「テスター」というロールの認知の向上を図っていきたいとも考えています。

私はテストを愛していて、テストに専門性があるテスターなのです。

「テスター」という自分に対して誇りを持ち、少しでも「テスター」に近づけるように日々の業務を行なっています。

補足:「テスター」も高い専門性がある

「テスター」という言葉が軽視されるようなニュアンスで使われる場合があります。

「テスター」というのはしばしば「テスト実行手順書を元にテスト実行だけしている人」という意味合いで使われています。 ソフトウェアテストの認証資格であるIVECでも最低レベルに位置しています。 しかし、実際には高い専門性が求められると考えています。

「文章を読む力」「問題を発見する力」「問題を言語化する力」 私自身、「テスト実行者」として多少の専門性を持っていると自負しています。そして、私はテスト実行を愛していて、それについて誇りも持っています

こうした「テスター」の専門性については、以下の記事で紹介しています。

https://zenn.dev/55_ymzn/articles/value_of_test_execution

日本における「テストエンジニア」という言葉の特別な意味

一方で、日本における「テストエンジニア」という言葉の特別な意味についても言及しておきたいです。

テスターという言葉には、前述の通り、「テスト手順書に基づいてテスト実行だけに手を動かす人」というニュアンスが含まれていました。

そんな中で、電通大の西先生をはじめ、多くの方々が「ソフトウェアテストには専門性と高度なエンジニアリング技術が必要だ」という認識を広めるため、「テストエンジニア」という言葉を普及させました。 この背景には、テストという職業の価値を社会に向上させたいという強い思いがあったと聞いています。

「私はテスターです」と名乗ったばかりですが、一方で上記の経緯にも敬意を払っていきたいと考えています。 「テストエンジニア」としての自分も肯定していきたいと考えるとともに、「テストエンジニア」と名乗る人々についても尊重していきたいと考えています。

補足:Dirty Testについて

ちなみに、ダーティテストという言葉も存在します・ 「実践的プログラムテスト入門」に以下の記載があるので、紹介しておきます。

プログラムが正しく動かないことを実証するためのテスト。すなわち、ソフトウェアを破壊するように設計したテスト。 実践的プログラムテスト入門、ボーリスバイザー、1997年

Dirty Testerの現在と思い

2024年11月現在、Dirty Testerという言葉は鳴りを顰め、バキバキQAという異名で言われることが多いです。 私自身、Dirtyという単語を使うことが少し恥ずかしいという思いがあることにはあるが、私自身はDirty Testerにもっとも愛着があります。

バキバキQAは正直、誰がどう名乗ってもかまわないと思っています。 一方で、Dirty Testerは私とマインドを共通する人だけに名乗ってほしいと考えています。

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