バキバキQAに込めた思い
Q.世界に比べてコード書かない率が高いという結果をASTERが出してきてるんですけども。
ごまずん:まことに遺憾ですよね。残念ですね。
Q.ご自身は?
ごまずん:あ、僕バキバキQAですね。
Q.これまで開発経験は?
ごまずん:あ、もう当然なく。自分から書こうというほどではないですね。
Q.それはどうしてですか?
ごまずん:やはりバグを埋め込むのが怖い
Q.年収とかは?
ごまずん:会社員なので全然ない。自信もなく。コミュ力があればまだいけるのかもしれないですけど。
https://dic.nicovideo.jp/a/バキバキ童貞です
バキバキQAの背景
2024年ごろ、Dirty Testerである私は、テスト会社を卒業して、「QAエンジニア」として事業会社で働くことになりました。
一方で、「QA」という言葉については引き続き疑問と距離感を感じていました。
「テスターではなくQA」という言葉や自己認識が、どこかテスターを軽視するようなニュアンスを含んでいるのではないか、というように思えて仕方ありませんでした。
転職面接の時はポジショントークとして「QAエンジニアになりたいです」と言っていました。 その実、QAエンジニアとテスターの違いがわからなかったのです。
バキバキ童貞との出会い
2023年に個人的に超バズっていたものがあります。 「バキバキ童貞」です。 バキ童は「童貞である」ということを前面に押し出し、一種のキャラクターとして確立しています。 一方で、バキバキ童貞本人は「童貞を卒業したい」という明確な夢も持っています。
彼のその確たる思いは、QAでありながら、QAを弱みとして捉えて、そこから飛び出したいと感じている私のQAに対する認識の構造に通じるところがありました。
いつかQAと呼ばれなくなるためのバキバキQA
私は「QAさん」と呼ばれ続けることを望んでいません。
私の目指すところはQAさんではなく、ソフトウェアエンジニアであるということです。 「テスターあがりのQAさん」ではなく、きちんと「品質保証に専門性があるエンジニア」として開発に積極的に貢献できる存在を目指したいと考えています。
その構造はバキバキ童貞に似ていると考えます。 私はバキバキ童貞に対する敬意とシンパシーを表現するために、バキバキQAを名乗ることにしました。
また、「バキバキ」という言葉のニュアンスもとても気に入っています。
「バキバキ」という言葉を聞くと、「それに集中してキマっている」という印象を持ってしまうのは私だけでしょうか。 自分自身で「バキバキQA」という言葉を使うことで、「QAという業務に視野狭窄してしまいバキバキにキマっていないか?」という問いをいつでも投げかけられるのではないかと思っています。 だから私はバキバキQAを名乗っているのです。
「開発経験がない」という意味のバキバキQA
バキバキ童貞と同じメタファーであるなら、バキバキQAは開発経験がないという意味でもあります。
「開発経験のないこと」とは、ここでは製品として販売されるような「プロダクトコードを書いたことがない」ことをここでは意味します。 テストコードや趣味として行う個人開発はここでは開発経験に含めません。
そんな私がQAエンジニアとして名乗ってしていいのだろうか?とも思います。 「チーム全体で価値を高めて品質保証」なんて言ってもいいのでしょうか?
「コードを少し書けること」と「開発経験がある」の違い
Pythonやjavascriptのコードは少しだけ書けるのは事実です。 Javaのコードも読みやすいものしか見たことないが読めるかもしれないです。 ただ、それは「開発経験がある」には程遠いと思っています。
プロダクトコードは複数のサービスやフレームワークを活用して、難解な本番環境に乗せて、それでいて保守しやすいクリーンなコードであるべきだと考えています。 私が理解していないプロの技もあるのかもしれないとも思います。 また、多くのプロダクトコードはチームで開発しており、レビューに耐えるコードです。
それらと同じレベルで「コードが書けます」とは言えないのが現状です。 もし私に「開発経験がある」と言ってしまえばそれは「素人QA」と呼べるのかもしれません。
「開発経験がない」の劣等感
「プロダクトコードを書いたことがない」という自己認識は、実際のQAとしての活動でも精神的な障壁になっているように思えます。
「質とスピード」で語られるように、私は内部品質の高さが素早いデリバリーと外部品質の向上に寄与すると考えています。 そんな中で、「単体テストコードを見てみたい、単体テストレベルのテストマネジメントをしたい」となった時に、「単体テストについて私がコメントしてもいいのか?」と葛藤することがあります。 また、過去には「うまくテストコードが書けないから教えてほしい」という相談にも私はうまく答えられないという苦い経験がありました。
「開発経験がない」ことによる引け目があることは否定できません。 そして、「単体テストは開発者を導くものではないか?QAが何か言っていいものなのか?」と思ってしまうのでした。
「開発経験がないエンジニア」を肯定する気持ち
一方で、私以外の「開発経験がないエンジニア」を肯定したい強い気持ちがあります。
「エンジニア」という言葉について、外国では「ITエンジニアは情報処理系の大学の学位を持っている人」と明確に定められている場合があります。 しかし、これは開発経験がないQAによる戯言でしかないかもしれませんが、エンジニアリングの技術で現場を改善していたらエンジニアと名乗っていいと私は考えています。
「QAする」も広義の開発である
QAはテストが主戦場となることが多いです。 一方で、テストは開発のプロセスの一部だと捉えることもできます。
QAの活動がプロダクトの品質に直接的に貢献しているのであれば、たとえプロダクトコードを書かなくても広義の「開発経験」と呼ぶにふさわしいと考えています。 そういった意味ではQAも「開発経験アリ」と言えるのではないでしょうか。
それでも「開発経験したい」という気持ち
それでも私は「開発経験なし」の「バキバキQA」で一生過ごすことを望んでいません。
プロとして開発ができる実力はないのですが、もっと開発の知識を知って、開発者のこともきちんと考えられるお母さんのようなQAになりたいと考えています。 「お母さんのようなQA」はにしさんがよく言っていましたね。
今後は開発者とも技術的な交換をしながら一緒に品質向上を進めていくエンジニアになりたいと考えています。
おわりに
もういい歳なので、プロダクトコードを書ける機会はそう表れないかもしれません。 それでも私はプロダクトコードへのアプローチを決して諦めず、いつか「バキバキQA」を卒業して、「QAに専門性のあるエンジニア」として生きていきたいと考えています。
異名やロールについての本音
正直に言って、本当のところは、自分の異名はテスターでもQAでもなんでもいいと考えています。
私のありたい姿は「会社が思い描いている製品による顧客のハッピーを最大化すること」「それに対して手段を選ばず実行すること」です。
それがテストだったらやる。コードだったら書く。人を管理することもあるかもしれません。 業務や組織やルールや人の越境をして、手段を選ばずとにかくやっていくことが私のできることだと考えています。
「テスター」「QAエンジニア」という言葉で自分の業務のスコープを狭めるのではなく、顧客に価値を届けるために必要な役割を果きちんとたしていきたいと考えています。
仕事を通じて自己実現するのは私は苦手なのです。
バキバキQAをレッテル貼りに使うな
本記事を読むと、開発経験がない=バキバキQAと読めてしまいます。 これは私の現状や思いを象徴する定義ではあると考えています。
一方で、私はバキバキQAをレッテル貼りとして使っているわけではありません。
私はこの記事やイラストを見て楽しんでもらったり、考えてもらえればそれで満足です。
バキバキQAは私で、あなたが自分から名乗らない限り、バキバキQAではありません。 私以外の誰かに開発経験があろうとなかろうと、私にとってはどうでもいいのです。